656本当にあった怖い名無し [sage] :2006/07/15(土) 12:38:39 ID:wgBFB6VRO
小学3年生の夏休み。
近所の子たちといつも遊ぶ公園に、見慣れない子がいた。
公園の近くのあるアパートに祖父母が住んでいて、夏休みの間、自分は青森から遊びに来ているのだと言ってた。名前はミホコ。私と同じ歳だった。
気が合って、よく遊んだ。もちろん近所の子たちも一緒に。
ミホコの祖父母が住むアパートは公園のすぐ隣だったので、誰かが転んで擦り傷を作ったりすると、絆創膏をもらいに行ったりした。遊ぼうって、ミホコを誘いに行ったりもした。
祖父母と手をつないで「今日は動物園さ行ぐんだ」と出かけて行くミホコを皆で見送ったりもした。聞き慣れない東北弁が不思議だったのか、ミホコのその声が今も耳に蘇る。
夏休みが終わってミホコが青森に帰ってからも、祖父母と挨拶を交わしたり、ミホコからの手紙を祖父母が持ってきてくれたりしてた。
ミホコの住所を、近所の子たちに請われるまま教え、皆でミホコに手紙を書いた。
翌年の夏休みからは、ミホコの弟で3歳下(私の弟と同じ歳)のヒロヤも来て、やっぱり近所の子たちも一緒に、それこそ毎日、日焼けと泥で真っ黒になって遊んでた。
さらに翌年、翌々年と、ミホコもヒロヤも夏休みには来た。

その頃の遊び仲間が誰一人として、ミホコとヒロヤのことを覚えていない。覚えていないというより、知らない、と言う。そんな子いなかった、と。
ミホコの祖父母のことや、その部屋のことも。
私の父が撮った写真があって、焼き増しして皆にも配ったのに、今手元にそれを持っているのは私だけだというのも不思議。
ただ、私の弟だけは2人を覚えていると言う。
でも、仲良く遊んだ記憶はなく、いつも公園の隅でこちらの様子を窺いながら遊ぶ姉弟だったと言う。

なんだったんだろう。


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