577573 1/2 [sage]:04/11/28 16:16:12 ID:1mqVmY9o
長いけど……
小学2年生の時、親父とキノコを採りに行った時に、急勾配の斜面を滑り落ちてしまった。
かなりの急な斜面で、当時の俺の体力では上まで登る事は無理。
ケツは摩擦で痛いし、叫んでも上からの反応はまるでなし。
数分、十数分とじりじり待ち続けても親父の声は聞こえてこない。
仕方なく自力で上に登ろうと思って歩き始めたけど、霧が出てきた。
泣き叫びつつ歩き回っていると、突然に霧が晴れた。
振り返ると霧、前を見ると霧はない。
霧の境目と言うにはおかしくて、見えない壁が霧を遮っているようだった。
目の前には開けた野原があり巨木がそびえている。
あの巨木の形は、今でもはっきり覚えてる。

幹に縦に並ぶ3つの大きな穴、辺りの木々は紅葉しているのに、その巨木だけは青々と茂っていた。
足下はふかふかのコケ。
巨木から澄んだ小川が流れてきていて、途中でコケに吸い込まれるようにして消えていた。
突然、呆然としていた俺の横の茂みがガサガサと揺れて、犬みたいな動物が現れた。

578573 2/2 [sage]:04/11/28 16:18:19 ID:1mqVmY9o
体は犬のようで、顔は赤ちゃんの顔を平たくしたような感じ。
その動物は俺を見て驚いたようだったが、プイと向こうを向くと、巨木の方に走っていった。
俺はもはや気絶寸前、尻餅をついて、おかしな虫みたいに後ずさりしてしまった。
その変な動物は巨木の下の辺りでこっちを振り向くと

「迷い込むにもほどがある。小川を飛び越えろ」

と、掠れた声で叫んできた。
ノソノソと立ち上がり、小川をまたごうとして巨木の方を見ると、その動物の後ろに巨大な人影があった。
男性だという事は覚えているけど、顔が思い出せない。
小川をまたぎ、再び巨木の方を振り返ると、そこには俺が乗ってきた車があり、
親父が荷物をしまい込んでいた。
泣きじゃくりながら親父に飛びついて、何かを叫び散らしたような記憶がある。
その後、親父は一瞬真顔になった後、笑いながら、
昼飯に持ってきたおにぎりを2つ山道の隅に置いて、二人で手を合わせた。
妖精なのか妖怪なのか分からないけど、俺は怖かったけど山が好きになった。

長くてわりぃね。


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