74おさかなくわえた名無しさん [sage] :04/08/02 03:46 ID:zRO9jLJG
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随分昔、私が消防時代の話です。

外でよく遊ぶ田舎の子供は、真っ黒に日焼けしているのが普通で、
夕方家に帰ると良く母親に「カラスが帰ってきた?」とからかわれたものです。
毎日のようにプールへ通い、そのとき既に真っ黒に日焼けしていました。
いつものように夏休み中の学校のプールへ行った帰りの事です。
時間は5時過ぎたくらいで、とても暑くよく晴れた日の夕方でした。

東北の田舎なので、田んぼしかない農道を
友達のK君と一緒に歩いていると前方50m位の場所に
真っ白で、激しく くねくね と踊るように動くナニカが居ました

最初は案山子が夕日を反射して白っぽく光っているだけのように思ったのですが、
それにしては良く動いているし、
夕日で辺り一面オレンジ色に染まっているのに
そのナニカだけは少し発光しているかのように真っ白で
くねくねと激しく動いていました

7574 [sage] :04/08/02 03:48 ID:zRO9jLJG
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並んで歩いていたK君が足を止めたので彼の顔を見ると、
目を精一杯見開いてその白いくねくね動くナニカを瞬きもせず見つめながら
ブルブル震え ものすごい量の汗をかきながらぼそっと呟きました。
僕にはK君が何を言っているのか聞き取れませんでしたが
「◎×▽□●▲□□だ。。。」
「◎×▽□●▲□□だ。。。」と同じ言葉を繰り返しているようでした、
僕が「え?なに???」とその言葉を聞き取ろうとしている時に
近所のおじさんが農作業用の軽トラックで通りがかったのですが、
おじさんは、僕達の近くで車を止め、「早く荷台に乗れ!!!」と叫び、
車から降りて、僕達を抱えるようにして軽トラックの荷台に放り込み
逆方向へ逃げるようにものすごい勢いで走り始めました。

逃げるように走り出すトラックの荷台から、わけがわからず
もう一度そのくねくねと動く白いものを振り返って見ようとしたら
おじさんが「あんなもん見んじゃねー!!!」と運転席から怒鳴りました

K君は荷台の端で体育座りをして
目を見開いたまま瞬きもせず、口元は笑いながら
ものすごい量の汗をかきガクガクブルブルと震えていました。
 僕は、白いくねくねと動くナニカよりも怒鳴り散らすおじさんよりも、
そのK君が怖かったです。

76おさかなくわえた名無しさん [sage] :04/08/02 03:50 ID:zRO9jLJG
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 それから2日ほど経ってK君が入院したと聞かされました。
当時子供の間でも"キ○ガイ"の居る怖い病院として有名だったM病院です。
その病院に近寄ると
「う○こ投げられる」「奇声を上げる女の人が噛み付いてくる」等の噂がありました。
大人になって精神病院であると理解できた今ではなんとも思わないのですが
子供心にその病院は近寄るのも怖かったのですが、
どーしてもK君のお見舞いに行かなければならないと思い
根性出して行ってみました。
 病院はとても静かで、噂ほど怖い場所ではないと感じました。
全体的に白い壁、白い床、白いイス と真っ白な印象の病院だったのですが
K君の病室は壁も床もベッドも布団もすべてが緑色でした。

K君は母親と看護婦さんと笑顔で話をしていたのですが、
僕が病室に入り声をかけると、こちらを見るなり
軽トラックの荷台で見た、目を見開き口元は笑いブルブルと震えだしました。

看護婦さんに病室から追い出され廊下で
"K君には、白い物を見せてはいけない"という説明をされました。
その看護婦さんもピンク色のナース服を着ていました。
僕は真っ白いTシャツを着ていたのでそれがまずかったのでしょう。

7774 [sage] :04/08/02 03:50 ID:zRO9jLJG
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Tシャツを脱いで会おうとも思ったのですが、
看護婦さんに止められ言われるまま帰りました。
そのままK君に会う事もなく夏休みの最終日になり、
友達は皆宿題に追われていて、
遊ぶ相手の居なかった僕は、近所をうろついていたのですが
何気にK君の家の前を通りがかったので庭を覗き込むと
透き通るように真っ白な肌、老人のように真っ白な髪になった
K君が微動だにせずボーっと空を眺めていました。
その時僕は、真っ黒に日焼けしていたはずのK君が
白い肌、白髪に変化している事に違和感を感じ
声をかけることは出来ませんでした。

恐ろしいような哀しいようなそんな気分になり
もう帰ろうと歩き始めた時K君が気になって振り返ってみると
K君はゆっくりと体をくねらせ始めました。
僕は一気に恐怖に捕らわれ逃げるように走り出しました。
その時、叫び声を挙げたような気がしますが声にはならなかったようです。

7874 :04/08/02 03:52 ID:zRO9jLJG
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学校が始まると、彼は転校したと担任から言われ、
その後もK君を見かけることはありませんでした。
あの日ぼくたちが見た
白いくねくねと動くものは一体何だったのでしょうか?
近所の おぢさんは どういったものなのか解っていたようなので、
聞いてみたのですが怒るだけで何も教えてくれませんでした。
自分の両親にも聞いてみたのですが、やはり何も答えてはくれませんでした。
大人になれば何だったのか理解できるのだろうとなんとなく思っていましたが、
未だに、そのくねくねと動く白いものは 何者なのかわかっていません。



長くてスマソ(;´Д`)


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