671/2 :03/08/20 02:39 ID:1xUfI4R5
私の故郷は、山に囲まれた谷間の村というド田舎です。
そこで小学生の頃に体験した、不思議な話。

ちょうど今頃の時期、夏休みのことだった。
いつもは友達数人と遊んでいたのだが、その日は私一人でした。
カブトムシを採りにか、探検かは覚えていないが、私は小山へと入っていった。
(子供の足で数分で山頂まで登れる程度の小山。)
いつもと違うルートで登ることにして、行った事のない場所を探していた。
山頂に繁みに囲まれた場所があり、その先は窪地になっていた。そこにきれいな泉があった。
泉の周りには、鹿や狸や狐などが水を飲みに集まっていた。
私は音を立てて動物を逃がさないよう注意しながら、その光景を見つめていました。

ふと気付くと私は山の麓に出ていました。どうやって降りたのか記憶にはありませんでした。
「自分だけの秘密の場所」を発見した興奮に浸りながら家へと帰りました。
もちろん誰にも話しませんでした。

数日後、一人のときにその場所へ行ってみました。そこには動物達はおろか、泉も存在しませんでした。
それでも私は誰にも話しませんでした。

その後、唯一健在だった母方の祖母を訪ねた時、なぜが祖母にその話をしました。
祖母は「それは狐に化かされたんだよ、それだけで済んでよかった」と教えてくれました。

682/2 :03/08/20 02:41 ID:1xUfI4R5
>67の時に祖母から聞いた、狐に化かされたという話。

母の兄、私の叔父さんが子供の頃というから、今から50年程前のこと。
母の実家は土地持ちで、結構な数の田をあちこちに持っています。
その日は、中でも山の奥の方にある田んぼで仕事をするため、祖父と叔父が出かけていきました。
(母はまだ幼すぎ、祖母は当時お産直後だったので留守番でした。)
叔父は、しばらくの間祖父の仕事を手伝っていたのですが、そのうち姿が見えなくなりました。
祖父は「どこかで遊んでいるのだろう。遊びたい盛りで仕方がない」と考え、探しませんでした。
やがて夕方になり、帰ろうと叔父を探しますが周りにいません。
それでも「一人で先に帰ってしまったか」と楽観していたそうです。
帰宅して祖母に確認すると「帰ってきていない」との返事。
家の周りや、件の田んぼの周りを探しましたが見つかりません。どんどん日は暮れていきます。
そうなるとあとは大騒ぎです。村中動員してあちこち探してまわりました。
捜索は、夜を迎えて中断されました。明日は山狩りをするということが決められました。
祖母は「神隠しに遭った。もう帰ってこない」と思ったそうです。

翌日、叔父は最初の田んぼ近くで見つかりました。
泥だらけでぼんやりしていますが、どこにも怪我はしていません。
一晩経っているのに、おなかも空かせていなかったそうです。
その間のことは、やはり覚えていませんでした。
それどころか、時間の感覚がなく、「ちょっと遊んでいた」ぐらいの感覚だったといいます。

祖母は「もう少しで狐に取り殺されるところだった」と言います。
だから「一人で山に入ってはいけない」と、「大勢だと狐が怖がるからね」と。


現在は最初の山も、この田んぼも、道路ができて存在しません(祖母は健在)。
人を化かしたという、狐も狸も見かけなくなったそうです。


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