206本当にあった怖い名無し [sage]:05/02/15 19:18:28 ID:T3NOWe5L0
<狸>

死んだ俺の祖父さんが子供の頃の話だから、70年は経っている話
じいさんの家の女中さんが、ある日の夕方暗くなってから、お稲荷さんに
お供え物をしに行った。供え物は豚の脂身だったそうだ
供え物を祠に供えて拝んでいると何か気配がするのでふと見ると
かたわらに狸がいてこっちをじっと見ている
狸なので気にせずに祠に視線を戻すと、供えた脂身が無い
あっと思って狸のいた方を見るともういない

家に帰って奥さん(俺の曾祖母か)にその事を話すと
それは狸の悪さじゃないだろうか、と言う事になったらしい
その時「おたかさん…おたかさん…」
と女中さんの名を呼びながら、誰かが勝手口の戸を叩きはじめた
聞いた事の無い声なので、不審に思いながらおたかさんが戸を細めに開けて見ると
狸がいる
さっきの狸だ!と思い、喋るし自分の名前を知ってるしで気味が悪いので
あわてて戸を閉めて鍵をかけた
狸はその後もしばらく戸を叩いたり床下に回ったりしておたかさんを呼んだが
無視しているとやがて物音はしなくなった

それだけなんだけど、子供の頃、祖父さんから繰り返し聞かされて面白かった記憶がある
のちに内田百?の随筆に、狸がついて来て戸を叩き名前を呼ぶ話があるのを読んで
不思議な気がした


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